外国人経営 管理ビザ

経営管理ビザは外国人経営者に必要?対象になる方・ならない方を解説

「経営管理ビザ」は、外国人が日本で会社を経営したり事業の管理者として働いたりするための在留資格ですが、日本にいる外国人であれば誰にでも必要というわけではありません。すでにお持ちの在留資格の種類によって、あらためて経営管理ビザへの変更が必要な方と、その必要がない方に分かれます。

このページでは、経営管理ビザが必要になる外国人・不要な外国人の違い、国籍による扱いの差の有無、そして外国人ならではの申請準備で気をつけたいポイントを、行政書士の立場から整理します。個々の事情への当てはめは複雑になりやすいため、実際の申請を検討される際は最新の公式情報の確認と専門家への相談をおすすめします。

経営管理ビザは「外国人が会社を経営・管理するため」の在留資格

経営管理ビザは「外国人が会社を経営・管理するため」の在留資格

日本人には在留資格そのものが不要なため、経営管理ビザは外国人だけが対象になる制度です。ただし外国人であれば全員があらためて取得しなければならないわけではなく、その方がすでに持っている在留資格の種類によって、事業を開始する際に必要な扱いが変わってきます。会社(法人)だけでなく、個人事業主として日本で事業を営む場合も経営管理ビザの対象になり得ますが、実務上は法人形態での申請が大半です。

なお、飲食店や古物商など業種によっては、経営管理ビザの要件とは別に、その事業を行うための営業許可・許認可の取得が必要になる場合があります。上記はあくまで在留資格に関する基本的な整理であり、実際の判断には事業内容ごとの確認が必要です。次の項目で、具体的にどちらに該当するかを見ていきましょう。

すでに経営管理ビザが不要な外国人(身分系の在留資格をお持ちの方)

すでに経営管理ビザが不要な外国人(身分系の在留資格をお持ちの方)

出入国在留管理庁の整理では、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」といった、就労に制限のない身分系の在留資格をお持ちの外国人は、あらためて経営管理ビザを取得しなくても日本国内で会社を経営したり、事業の管理に従事したりすることができます。身分系の在留資格は、その方の身分や地位にもとづいて就労内容を問わず経営を認める、という考え方にもとづいているためです。

特別永住者も同様に、就労に制限がないため経営管理ビザは不要です。特別永住者は入管法とは別の法律(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法)にもとづく地位であり、経営管理ビザをはじめとする通常の在留資格の枠組みとは異なる位置づけになります。

なお、2025年10月の要件改正(厳格化)で新設された「常勤職員を1名以上雇用する」という義務においても、この常勤職員としてカウントできる範囲は出入国在留管理庁が具体的な基準を定める分野であり、日本人・特別永住者、または永住者や日本人の配偶者等など就労制限のない身分系の在留資格を持つ外国人に限られます。常勤の従業員として雇用契約を結ぶ以上、給与(報酬)の支払いや社会保険・雇用保険への加入、税金の納付実績といった、通常の雇用関係の実態も確認の対象になります。経営管理ビザを取得しようとするご本人だけでなく、当該職員が要件を満たすかどうかも合わせて確認しておく必要があります。ただし2025年10月15日までに手続きを行っていた場合など、一定の要件を満たすケースでは経過措置が適用され、新基準がすぐには適用されないこともあります。

経営管理ビザへの変更・新規取得が必要になる主なケース

経営管理ビザへの変更・新規取得が必要になる主なケース

反対に、次のような在留資格をお持ちの外国人が日本国内で会社の経営や事業の管理に携わろうとする場合は、経営管理ビザへの変更、または新規の取得が必要になります。

留学ビザから起業する場合

日本の大学や専門学校を卒業した留学生が、そのまま日本で会社を設立して経営者になろうとするケースです。留学ビザは学業を行うための在留資格であり、就労は原則として資格外活動許可の範囲に限られるため、継続的に会社を経営するには経営管理ビザへの変更が必要になります。学歴や実務経歴、修士号・専門職学位の有無は、経営管理ビザ本来の要件(3年以上の実務経験、または関連分野の学位)として別途確認される点になります。

就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)から経営に移る場合

すでに日本企業に勤務し、技術・人文知識・国際業務などの就労ビザで働いている外国人が、独立して自分の会社を設立し経営者になる場合も、活動の内容が「雇用されて働くこと」から「事業を経営すること」に変わるため、経営管理ビザへの変更が必要です。

家族滞在ビザから独立して事業を始める場合

配偶者の就労ビザ等に付随する家族滞在ビザで在留している方が、ご自身で会社を設立して経営に携わる場合も対象になります。家族滞在ビザは扶養を受ける方のための在留資格であり、そのままでは経営活動を行う位置づけにないためです。

海外から新たに来日して起業する場合

海外に住んでいる外国人が、新たに日本で会社を設立し来日して経営を行う場合は、在留資格認定証明書交付申請という手続きから始めます。日本国内で在留資格を変更する場合(在留資格変更許可申請)とは申請の入り口が異なるため、現在どこに住んでいるかによって最初に取るべき手続きが変わる点に注意が必要です。

なお、より高度な人材を対象とした「高度専門職」という在留資格で経営に近い活動を行うケースもありますが、通常の経営管理ビザとは要件・優遇内容が異なる別制度です。ご自身の経歴や事業内容によってどちらが適切かは異なるため、迷う場合は専門家にご相談ください。

経営管理ビザの取得に国籍による違いはあるか

経営管理ビザの取得に国籍による違いはあるか

経営管理ビザに係る審査基準は、正式には「上陸基準省令」の改正という形で入管法・法務省令にもとづいて定められており、国籍によって異なることはありません。事業の実現可能性、資本金の規模、独立した事業所の確保など、どの要件も国籍を問わず共通です(2025年10月の改正前は資本金500万円以上が基準でしたが、現在は3,000万円以上に引き上げられています)。自宅と事業所を兼ねる形態は、生活スペースと事業スペースが明確に区分されていない限り、原則として認められにくいとされています。

当事務所ではこれまで、中国・台湾をはじめとする外国人経営者の経営管理ビザ取得を数多くサポートしてきました。国籍によって有利・不利があるわけではなく、事業計画書の実現可能性や書類の整備状況が審査の中心になる、という点は共通しています。

外国人ならではの準備で気をつけたいポイント

外国人ならではの準備で気をつけたいポイント

本国発行書類の翻訳・認証

海外で発行された卒業証明書や職歴を証明する書類、婚姻・出生に関する証明書などを提出する場合は、日本語の翻訳文を添付する必要があります。書類によっては、発行国の公的機関やその国にある日本大使館・領事館での認証(アポスティーユ等)が必要になることもあり、発行から3か月以内など有効期限が定められている書類もあるため、通常の書類準備より時間がかかる前提でスケジュールを組むことをおすすめします。

資本金の海外送金と出所の証明

海外から日本の会社設立のために資本金を送金する場合、送金の記録に加えて、その資金がどこから得たものかを説明できる資料(給与や事業収益の記録など)を求められることがあります。海外の銀行口座から日本の法人口座への送金は着金までに日数がかかることもあるため、早めに準備を進めることが望まれます。

申請者本人の日本語能力

2025年10月の要件改正により、申請者本人または常勤職員のいずれかが、日本語能力試験(JLPT)でN2相当以上の水準を有することが必要になりました。申請者ご本人がこの水準に届かない場合は、要件を満たす常勤職員を雇用することで対応する形になります。

配偶者やお子様の在留資格

経営管理ビザを取得したご本人に扶養されるご家族(配偶者やお子様)は、家族滞在ビザで一緒に日本に在留できます。すでに配偶者ビザなど別の在留資格で日本にいるご家族がいる場合は、そのまま在留を続けられるケースもあれば、変更の要否を個別に確認したほうがよいケースもあります。

よくある誤解 — 「外国籍だから不利」ではない

よくある誤解 — 「外国籍だから不利」ではない

「日本人と組まないと会社を作れないのでは」「特定の国籍だと審査が厳しくなるのでは」といった相談を受けることがありますが、そうした事実はありません。外国人単独での会社設立・経営は制度上認められており、審査で重視されるのは国籍ではなく、事業の実現可能性や継続して運営できる体制が整っているかどうかです。

一方で、日本語でのやり取りに不安がある、日本の商習慣に不慣れといった実務上のハードルは実際に存在します。当事務所では多言語でのご相談にも対応しており、書類作成や行政とのやり取りを含めてサポートしています。個々の状況によって最適な進め方は異なるため、最終的な判断は専門家にご確認いただくことをおすすめします。

なお、経営管理ビザ取得後の在留期間の考え方や、在留期間更新の際に確認される決算の内容・事業の継続性については、経営管理ビザとはのページで詳しく解説しています。

プログレスサポート行政書士事務所にご相談ください

プログレスサポート行政書士事務所にご相談ください

当事務所は、中国・台湾をはじめとする外国人経営者の経営管理ビザ取得を数多くサポートしてきました。すでにお持ちの在留資格から経営管理ビザへの変更が必要かどうかの確認から、海外にお住まいの方の在留資格認定証明書交付申請、会社設立、事業計画書の作成、ご家族の在留資格まで、一貫してご相談いただけます。

「自分の今の在留資格で経営管理ビザへの変更が必要なのか分からない」「海外から日本で起業したいがどこから準備すればよいか知りたい」といった段階でも構いません。事業内容がまだ固まっていない場合も含めて、お気軽にご相談ください。

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行政書士伴 貴代子